音楽療法士は、音楽を通じて心身に障害のある人や高齢者のリハビリ、介護予防を行う専門職で、主に高齢者介護施設や障碍者福祉施設、特別支援学校などで活躍しています。公的な資格はありませんが、全国音楽療法士養成協議会と日本音楽療法学会が認定する民間資格があります。音楽療法士には音楽だけでなく、医療、心理学、福祉など様々な専門分野の知識も求められるので、この職業に就くなら資格保持者の方が有利でしょう。
全国音楽療法士養成協議会が認定する資格を得るには、まず同協議会に加盟する各地の大学で、所定のカリキュラムを履修する必要があります。修了者には履修単位数に応じて専修、1種、2種の何れかの資格が与えられます。一方、日本音楽療法学会の資格ですが、こちらも同学会が認定する大学や専門学校でのカリキュラムを受講しなくてはなりません。修了後に行われる試験や面接にパスすれば、資格者として認定されます。しかし音楽療法士の求人は少なく、仮に勤め口が見つかっても、常勤で働けるケースはまれです。
実際、介護施設などで働く音楽療法士の大多数は、介護職や看護師など他の仕事との兼業で、給与も決して高いとは言えません。昇給もあまり期待できず、その割には楽器の購入費や講習会の参加費用など出費が多い職業です。しかも国内ではまだ、音楽で治療するという認識が浸透してないためか、音楽療法士の認知度自体が低いのが現状です。それでも最近は、音楽療法士への注目度や需要が高まりつつあるので、音楽のスキルを活かしながら、介護や福祉の仕事に携わりたい人には、挑戦する価値のある職業でしょう。